老犬がよく寝るようになった。年のせいと片付けないで
老犬がよく寝るようになるのは、多くの場合、体力の低下にともなう自然な変化です。シニア犬は成犬よりも疲れやすく、疲労回復にも時間がかかるため、眠る時間が長くなります。ただし「年のせい」とすべて片付けてしまうと、その裏に隠れた不調を見逃すことがあります。この記事では、老犬の睡眠が増える理由と、注意したいサインの見分け方を、獣医師監修の情報をもとにまとめます。
老犬がよく寝るのはなぜか
老犬がよく寝る最大の理由は、加齢による体力の低下です。年を重ねると活動量が減り、散歩や遊びで使った体力を回復するのに、若いころより長い時間が必要になります。ワンペディアの獣医師監修記事でも、老犬は「体力の低下により疲労回復するのに時間がかかる」ため睡眠時間が延びると説明されています。
加えて、シニア犬は感覚や運動機能がゆるやかに衰えるため、外からの刺激が減り、起きている時間にやることが少なくなります。散歩に行く回数や距離が減ると、それだけ眠っている時間が増えていきます。これらは病気ではなく、年齢に応じた体の変化です。
老犬の睡眠時間はどれくらいが普通か
シニア犬の平均的な睡眠時間とは、1日あたり18〜19時間ほどを指します。これは成犬の睡眠時間である12〜15時間と比べて、3〜4時間ほど長い計算です。7〜8歳を過ぎたあたりから、こうした傾向がはっきりしてきます。
犬の睡眠は、眠りの浅いレム睡眠の割合が高いことが知られています。POCHIの記事によると、犬の睡眠はレム睡眠が多く、ノンレム睡眠(深い眠り)の割合は少なめです。眠りが浅い分、人間より長い睡眠時間を必要とするため、トータルの睡眠時間が長くなります。ほぼ一日中うとうとしているように見えても、それ自体は異常とは限りません。
老犬の睡眠が「自然な変化」と言えるのはどんなときか
睡眠時間が長くなっていても、起きているときの様子がいつも通りなら、自然な変化と考えやすいです。具体的には、食欲があり、呼びかけや好きなおやつに反応し、トイレや散歩のリズムが大きく崩れていない状態です。
寝ている時間が増えても、起きたときにしっかり目を覚まし、表情や歩き方に大きな変化がなければ、過度に心配しすぎる必要はありません。まずは普段の様子をよく観察し、「眠る時間」だけでなく「起きているときの質」を一緒に見てあげることが大切です。食欲の変化が気になるときは、ごはんを食べない老犬の対処法も参考にしてください。
どうすれば病気のサインを見分けられるか
注意したいのは、睡眠の長さに加えて「ほかの変化」が重なっているときです。にしのみや動物病院やワンペディアなどの獣医師監修情報をもとにすると、次のような様子があれば早めの受診が勧められます。
- 名前を呼んでも、強い刺激を与えないと起きない
- 元気がなく、立ち上がるのを嫌がる
- 食欲が落ちた、または食べているのに太ってきた
- 抜け毛・脱毛、皮膚の炎症が見られる
- 昼間に寝てばかりで、深夜に起きて歩き回る(昼夜逆転)
これらは加齢だけでは説明しきれないことがあります。一般に言われる原因として、ホルモンや循環器の不調が背景にあるケースが挙げられます。気になる様子が続くときは、自己判断せず獣医師に相談してください。
老犬がよく寝る背景にある病気とは
ここでいう「背景にある病気」とは、加齢とは別に睡眠時間の増加や元気のなさを引き起こす可能性のある不調を指します。あくまで一般に言われる原因であり、診断は獣医師が行います。
代表的なものが甲状腺機能低下症です。これは甲状腺ホルモンの分泌が不足する内分泌の病気で、中高齢の犬に見られます。森田動物医療センターなどの解説では、元気がない・寝てばかりいる・食事量は変わらないのに体重が増える・左右対称の脱毛といった特徴が挙げられています。
このほか、貧血や心臓病でも、体に酸素が十分にいきわたらず、だるさから寝ている時間が増えることがあります。心臓病などを抱えている可能性もあるため、呼びかけへの反応が鈍いと感じたら一度診てもらうと安心です。いずれも「治る・治す」と決めつけず、まず受診して状態を確認することが先決です。
老犬の認知機能の低下と睡眠はどう関係するか
犬の認知機能の低下とは、加齢にともなって脳の働きがゆるやかに変化し、行動に影響が出る状態を指します。POCHIの記事によると、認知機能が低下した犬では体内時計が乱れ、睡眠のサイクルが不規則になることがあります。
その結果、日中の睡眠時間がさらに長くなる一方で、深夜に起きてウロウロしたり、不安から夜鳴きをしたりする様子が見られることがあります。食事や散歩の時間になっても起きてこない、馴染みの人や場所がわかりにくくなる、トイレを失敗する、名前を呼んでも反応が薄いといった変化も、注意したいサインとして挙げられています。最近は犬の認知機能に配慮した食事や薬を扱う動物病院も増えているため、思い当たるときは相談してみてください。
どうすれば老犬が快適に眠れる環境を整えられるか
老犬が安心して眠れる環境づくりは、毎日の生活の質に直結します。ワンペディアの獣医師監修記事をもとに、家庭でできる工夫を整理します。
まず寝床は、柔らかく防水加工されたマットを選ぶと床ずれの予防に役立ちます。長く寝るシニア犬は同じ姿勢が続きやすく、床ずれができやすいため、体への負担が少ない素材が向いています。設置場所は、冷暖房の風が直接当たらない位置を選びます。冬は保温性の高い介護用マットやペット用ヒーターを使い、体を冷やさない工夫をします。
そして、昼間に散歩や日光浴で適度な刺激を与えることが、夜の良い眠りにつながります。日中に少しでも体を動かし、光を浴びることで体内時計が整い、昼夜逆転の予防にもなります。眠る環境と起きている時間の過ごし方は、セットで考えてあげてください。
老犬の通院や治療にかかる費用はいくらか
老犬の不調を調べるときには、検査や治療の費用がかかります。動物病院の解説によると、甲状腺機能低下症などの診断のための血液検査はおおむね15,000〜20,000円程度、治療は月あたり5,000〜15,000円程度が目安として示されています(病院や状態により異なります)。
シニア期は通院や検査の機会が増えやすく、費用の負担も気になるところです。早めに備えておきたい場合は、ペット保険の選び方もあわせて検討しておくと、いざというときに受診の判断がしやすくなります。費用を理由に受診をためらうより、気になる様子があれば早めに相談することが、結果的に愛犬の負担を軽くします。
この記事のまとめ
- 老犬がよく寝るのは、多くの場合、体力低下による自然な変化である
- シニア犬の睡眠時間は1日18〜19時間ほどで、成犬の12〜15時間より長い
- 睡眠の長さに加えて、元気のなさ・食欲や体重の変化・脱毛・昼夜逆転があるときは要注意
- 一般に言われる原因として甲状腺機能低下症・貧血・心臓病・認知機能の低下があり、気になるときは獣医師に相談する
- 柔らかい寝床と温度管理、昼間の散歩や日光浴で、快適に眠れる環境を整える
よくある質問
老犬は1日に何時間くらい寝るのが普通ですか?
成犬の睡眠時間が1日12〜15時間程度なのに対し、7〜8歳以上のシニア犬は18〜19時間ほど寝るのが一般的です。体力が落ちて疲労回復に時間がかかるため、自然と眠る時間が長くなります。
老犬がよく寝るのは病気のサインですか?
多くは加齢による自然な変化です。ただし元気のなさ・食欲低下・体重の変化・脱毛・昼夜逆転などを伴うときは、甲状腺機能低下症や貧血、心臓病、認知機能の低下などが背景にあることもあります。気になるときは早めに獣医師に相談してください。
寝てばかりの老犬のために家でできることはありますか?
昼間に散歩や日光浴で適度な刺激を与え、夜にしっかり眠れるリズムをつくることが役立ちます。床ずれを防ぐ柔らかい寝床、冷暖房の風が直接当たらない場所、保温の工夫も大切です。