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留守番で吠える・壊す。分離不安をやわらげる練習

🩺 獣医師監修 公開 2026/06/22 更新 2026/06/22 出典:犬の「分離不安」について。症状や原因、対策について解説【獣医師監修】(アニコム損保)

犬の留守番のしつけは、数十秒の短い不在から始めて少しずつ時間を伸ばす練習が基本です。留守番中に吠え続けたり物を壊したりするのは、わがままではなく「分離不安」と呼ばれる不安状態のサインのことがあります。アニコム損保やアイペット損保の獣医師監修情報をもとに、原因と練習の進め方、環境づくり、そして獣医師に相談すべき目安をまとめます。

分離不安とは

分離不安とは、犬が愛着の対象である飼い主から離れたとき、または離れることが予期されるときに強い不安を感じ、問題行動や体調不良を起こす状態のことです。アイペット損保の獣医師監修情報では、これを「疾患」として位置づけています。飼い主がいるときは落ち着いているのに、留守番のときだけ吠える・壊す・粗相をするといった行動が出るのが特徴です。

「留守番が苦手」と「分離不安」は地続きです。軽い苦手意識のうちに練習で慣らせれば、深刻な状態になりにくくなります。まずは愛犬の様子を観察し、不在時に何が起きているかを把握することから始めましょう。

なぜ留守番で吠える・壊すのか

留守番中に問題行動が出る背景には、飼い主と離れることへの不安があります。アニコム損保とアイペット損保の獣医師監修情報によると、分離不安の犬に多く見られる行動は、長時間にわたる過剰な吠え、ドアや窓など出入り口の破壊、飼い主のにおいがするものを噛む・壊す、そしてトイレの失敗です。

これらは「困らせてやろう」という反抗ではありません。不安でパニックに近い状態になり、その出口として吠えたり壊したりしているのです。叱っても不安そのものは消えないため、行動だけを罰するのは逆効果になります。吠え全般の対処については、内部記事の無駄吠えのしつけもあわせて参考にしてください。

留守番が苦手になる原因は何か

分離不安は一つの原因だけで起こるものではなく、性格・環境・経験など複数の要因が重なって生じます。アイペット損保の獣医師監修情報が挙げる主な原因は次のとおりです。

  • 家族や同居動物と常に一緒にいて、一人で過ごす経験が少ない
  • 外出時や帰宅時に飼い主が強い愛情表現をし、在宅時と不在時の差が大きい
  • 引っ越しや生活リズムの変化など、環境の変化
  • 留守番中に雷や物音などの強い恐怖体験をした
  • 高齢になり感覚機能が低下したり、体に不調があって不安が高まっている

このうち高齢や体の不調が背景にある場合は、トレーニングだけで解決しないことがあります。急に留守番を嫌がるようになったときは、一般に言われる原因に当てはめて自己判断せず、まず獣医師に相談してください。

どうすれば短時間から慣らせるのか

留守番の練習は、犬が不安を感じない短い時間から始め、少しずつ伸ばすのが基本です。アニコム損保とアイペット損保の獣医師監修情報が示す進め方を整理します。

  1. 部屋に犬を残し、飼い主が別室へ移動してドアを閉める。最初は数十秒など、犬が鳴き始める前の短さにする。
  2. 犬が落ち着いているうちに戻る。戻るときは声をかけたり、なでたりせず、静かに自然な態度で戻る。
  3. うまくいったら、数分程度ずつ少しずつ時間を伸ばしていく。
  4. 失敗して吠えたり崩れたりしたら、一段階短い時間に戻してやり直す。

大切なのは「成功体験を積み重ねる」ことです。鳴いてから戻ると「鳴けば戻ってくる」と学習してしまうため、必ず落ち着いているタイミングで戻ります。焦らず、犬の不安のサインが出ない範囲で進めてください。

出かけるとき・帰ってきたときはどうする

出入りの瞬間こそ、淡々と振る舞うのが正解です。アニコム損保の獣医師監修情報は、「いってきます」「ただいま」といった声かけをせず、さりげなく出入りすることを勧めています。出かけ際に特別にかわいがると、在宅時と不在時の落差が強調され、かえって不安が強まるためです。

さらに同情報では、出かけるときに特別なおやつや知育おもちゃを与え、犬が夢中になっているうちに出かける方法を紹介しています。帰宅後もすぐに構わず、5〜15分ほど落ち着いてから接すると、出入りが「特別な大イベント」でなくなり、犬が安定しやすくなります。

留守番中の環境はどう整えるか

留守番スペースは、犬が安心して休めるリラックス空間にします。アニコム損保の獣医師監修情報では、お留守番スペースを落ち着ける場所にすることが勧められています。普段からクレートやケージに入ることに慣れさせておくと、留守番中の「自分の居場所」になり、安心材料になります。

ケージやサークルは、閉じ込めるための道具ではなく安全基地として使うのがコツです。選び方や慣らし方は内部記事のケージの選び方を参考にしてください。あわせて、外出前に散歩や遊びで十分に運動させてエネルギーを発散しておくと、適度に疲れて留守中も落ち着いて過ごしやすくなります。

子犬のうちにできる予防は何か

予防の鍵は、早い段階から一人で過ごす経験を少しずつ積ませることです。アイペット損保の獣医師監修情報は、早い段階から留守番に慣れさせる必要があるとし、短時間から始める日常的な練習を重視しています。生後まもない社会化の時期にさまざまな環境・人・音に慣れさせること、子犬のうちから短時間でも一人で過ごす時間を作ること、クレートやケージに慣れさせておくことが基本になります。

すでに成犬で苦手意識が強い場合でも、練習でやわらげていけます。年齢にかかわらず、短い不在からの積み重ねという原則は変わりません。

病院に相談する目安はどこか

生活に支障が出ている、または体に反応が出ているときが相談の目安です。アニコム損保の獣医師監修情報は、飼い主の生活の質が下がっている場合や、よだれ・嘔吐・下痢・震えといった身体反応がある場合に相談を勧めています。

分離不安の対応は、行動療法(トレーニング)を基本に、必要に応じて環境調整やお薬・サプリメントを組み合わせて進められます。分離不安のような問題行動を扱う「行動診療」を行う動物病院では、その犬の状況に合わせた個別のトレーニングを提案してもらえます。練習がうまく進まない、症状が強いと感じるときは、無理をせず獣医師に相談してください。

この記事のまとめ

  • 犬の留守番のしつけは、数十秒〜数分の短い不在から始め、数分ずつ時間を伸ばすのが基本。
  • 留守番中の過剰な吠え・破壊・粗相は、わがままではなく分離不安のサインのことがある。
  • 出入りは「いってきます・ただいま」をせず淡々と。帰宅後5〜15分は構わない。
  • 普段からケージに慣れさせ、留守番スペースを安心できる場所にしておく。
  • 生活に支障が出る、よだれ・嘔吐・震えなどの身体反応があるときは、自己判断せず獣医師や行動診療に相談する。

よくある質問

犬の留守番のしつけはどれくらいの時間から始めればいい?

数十秒から数分という短い不在から始めます。犬が不安のサインを出す前にいったん戻り、成功体験を重ねながら数分ずつ時間を伸ばしていくのが基本です。最初から長時間の留守番をさせないことが大切です。

出かけるときに「いってきます」と声をかけてもいい?

かけないほうが落ち着きます。出かけ際に特別にかわいがったり別れの挨拶をすると、在宅時と不在時の差が強調されて不安が強まります。さりげなく、自然に出かけるのがポイントです。

留守番中ずっと吠える・物を壊すのは分離不安ですか?

分離不安の代表的なサインの一つです。ただし吠えや破壊には他の原因もあるため、自己判断せず、生活に支障が出ている場合は早めに獣医師や行動診療に相談してください。